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妻の浮気・不倫で離婚をする場合の慰謝料相場はどのくらい?

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更新日:2021年05月18日  公開日:2021年05月13日
妻の浮気・不倫で離婚をする場合の慰謝料相場はどのくらい?

妻の浮気・不倫が判明した場合、慰謝料請求をはじめとして、有利な条件による離婚を実現できる可能性があります。

ただし、きちんと証拠を押さえたうえで妻の責任を追及しなければ、言い逃れを許してしまう可能性があるので、十分な事前準備が必要です。

この記事では、妻の浮気・不倫に対する慰謝料請求時のポイント・金額相場、その他離婚手続きの進め方について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、妻の浮気・不倫(不貞行為)が発覚! 離婚前に考えるべきこととは?

妻の浮気・不倫は、具体的に配偶者以外の者との性交渉(不貞行為)を行った場合に、民法上の離婚事由に該当します(民法第770条第1号)。
さらに、浮気・不倫を理由として、妻や浮気・不倫相手に慰謝料を請求することも可能です(民法第709条)。

妻の浮気・不倫が発覚した場合、動揺する気持ちもわかりますが、まずは落ち着いて状況を整理し、弁護士のアドバイスを受けながら浮気・不倫の証拠を収集しましょう。

2、妻に浮気・不倫の慰謝料を請求するための条件

妻による浮気・不倫は民法上の不法行為(民法第709条)に該当し、妻に対して慰謝料(不倫慰謝料・不貞慰謝料)を請求することができます。

  1. (1)慰謝料とは?

    慰謝料とは、不法行為によって受けた精神的損害を補償する金銭を意味します。
    そのため、妻に対して慰謝料請求を行うためには、妻が不法行為(=不貞行為)をしたという事実を示す必要があります。

  2. (2)浮気・不倫の証拠を押さえることが重要

    浮気・不倫に関する慰謝料請求は、協議・調停がまとまらない場合、最終的には訴訟の場で争われることになります。
    訴訟では、証拠を用いて浮気・不倫の事実を立証しなければなりません。

    したがって、当初から訴訟を見据えて、浮気・不倫の証拠を十分に収集することが、慰謝料請求に当たっての重要なポイントになります。
    言い逃れできない証拠を集めることができれば、妻の側も任意に慰謝料の支払いに応じる可能性が高まるでしょう。

  3. (3)慰謝料請求は離婚をしない場合でも可

    妻に対する慰謝料請求は、離婚をする・しないにかかわらず行うことができます

    ただし、離婚をしない場合には引き続き共同生活を営むことになるので、慰謝料請求をする実益はないケースが多いでしょう。
    その場合には、後述するように、浮気相手(不倫相手・不貞相手)に対する慰謝料請求を検討することをおすすめします。

    参考:男性側からの慰謝料請求について

3、妻に浮気・不倫の慰謝料を請求するときのポイントと注意点

妻の浮気・不倫に関して慰謝料請求を行う際には、手続き面や法律上のルールなどに関して、以下の点に注意しましょう。

  1. (1)離婚協議の中で他の条件と併せて協議する

    浮気・不倫の過程で性交渉が発生した場合、離婚事由の一つである「不貞行為」(民法第770条第1号)に該当しますので、そのまま離婚協議に入ることも十分考えられます。

    その場合は、慰謝料だけでなく、以下の離婚条件についても併せて協議を行いましょう。

    • 財産分与
    • 婚姻費用
    • 年金分割
    • 親権
    • 養育費
    • 面会交流 など


    上記の条件を離婚時に漏れなく決めておくことで、妻との間でのトラブルの発生を防ぐことができます。

  2. (2)妻だけでなく浮気・不倫相手にも慰謝料を請求できる

    浮気・不倫の慰謝料は、妻だけではなく、浮気・不倫関係にある相手方に対しても請求することが可能です。
    浮気・不倫の当事者である妻と相手方は、夫に対して連帯して不法行為責任を負うからです。

    この場合、夫は、妻と相手方のどちらに対しても、慰謝料全額を請求することができます(どちらかから慰謝料全額が回収できた場合、その時点で慰謝料請求権は消滅します)。
    そのため、妻が資金不足で慰謝料を支払えないケースや、妻と離婚をしない場合などには、浮気・不倫相手に対して慰謝料を請求するとよいでしょう。

    なお、仮に浮気・不倫相手から慰謝料全額を回収した場合、浮気・不倫相手は妻に対して、妻の負担分に相当する金銭を求償することが認められます
    そのため、妻と離婚をしないケースでは、結果的に家計から資金が流出する可能性があることに注意が必要です。

  3. (3)慰謝料請求権の消滅時効に注意

    不貞行為に関する慰謝料請求権には、民法上、以下の消滅時効が定められています(民法第724条)。

    • 不貞行為の事実と相手方を知った時から3年間
    • 不貞行為があった時から20年間


    上記のいずれかの期間が経過した場合、妻(または浮気・不倫相手)側が消滅時効を援用すると、もはや慰謝料を請求できなくなります。
    そのため、消滅時効が完成しないうちに、早めの対応・行動を心がけることが大切です。

4、浮気・不倫の慰謝料の相場はどのくらい?

浮気・不倫の慰謝料請求を行う場合、大まかな金額相場を踏まえて請求額を決定する必要があります。どの程度の請求額が妥当なのかを見定めるためには、微妙かつ専門的な判断が要求されます。

  1. (1)明確な基準はなくケース・バイ・ケース

    慰謝料の請求額は、妻の不貞行為によって夫が受けた精神的損害の大きさに応じて決定がなされる必要があります。

    しかし、浮気・不倫にまつわる周辺事情はさまざまであるため、精神的損害の大きさについても、ケース・バイ・ケースで異なります。
    したがって、浮気・不倫の慰謝料請求額は、個別の事情を丁寧に分析・検討したうえで決定する必要があります。

  2. (2)慰謝料金額を増額させる要素

    一般論として、以下の事情がある場合には、浮気・不倫の慰謝料が増額される傾向にあります。

    • 円満な夫婦関係が大きく損なわれたこと
    • 長期、複数回にわたる不貞行為の継続
    • 婚姻期間が長期にわたっていること
    • 未成年の子どもがいること
    • 不貞行為発覚後の謝罪がなかったこと
    • 不貞行為以外に、DV、モラハラ、悪意の遺棄などがあること
    • 妻が多額の資産を持っている、または妻自身の収入が多いこと


    一般的な不貞行為の慰謝料は100万~200万円程度ですが、上記の事情が重なった場合、500万円前後まで慰謝料が増額されるケースもあります

    獲得できる慰謝料を増額するためには、妻側に大きな責任があることを示す事実とその具体的な証拠を少しでも多くつかむことが大切です。

5、慰謝料請求と同時に財産分与や親権の協議を行う方法・注意点

妻の浮気・不倫を原因として離婚を検討する場合、どのように手続きが進むかを事前に知っておきましょう。

また、離婚条件の話し合いにおいては、金銭面では離婚慰謝料に加えて、特に財産分与が大きな問題となります。さらに未成年の子どもがいる場合、親権をどちらの親が持つのかも重要になります

  1. (1)離婚を実現するための三つの方法|協議・調停・裁判

    離婚を実現するための方法には、「離婚協議」「離婚調停」「離婚裁判」の三つがあります。
    それぞれの概要は、以下のとおりです。

    ① 離婚協議
    夫婦間の話し合いによって離婚条件を決める手続きです。

    ② 離婚調停
    裁判所における非公開の調停手続きで、中立的な立場の調停委員が夫婦双方の言い分を聴き取ります。調停委員の仲介により、最終的には調停案への合意による離婚を目指します。

    ③ 離婚裁判
    裁判所における公開の訴訟手続きで、判決による離婚を目指します。
    離婚を認める判決を獲得するには、民法上の離婚原因を立証することが必要です(民法第770条)。


    基本的には、協議→調停→訴訟と段階的に移行することになりますが、当初から弁護士に依頼しておくと、手続き間の移行もスムーズです。

  2. (2)財産分与の金額・方法の決め方

    財産分与は、夫婦の共有財産を公平に分けるための手続きです(民法第768条第1項、第771条)。
    原則として、夫婦それぞれが婚姻期間中に獲得した財産を合算したうえで、その金額を2分の1ずつに分け合うことになります

    なお、夫婦の共有財産に不動産などが含まれている場合、現物自体を単純に2つに分けることは困難です。
    この場合、不動産を売却したうえで代金を分けたり、どちらかが現物を取得したうえで相手に代償金を支払ったりする分与方法が考えられます。

    どのような方法で財産分与を行うかは協議・調停・裁判の結果で決まりますので、ご自身の要望をきちんと主張することが大切です。

  3. (3)父親が親権を獲得するためのポイント

    親権に関しては「母親有利」と言われることもありますが、一概にそうとは限りません。
    親権者は、子どもの利益をもっとも優先して考慮したうえで決定されます。父親を親権者とする方が子の利益にかなうと判断されるケースも当然あります。

    具体的には、以下の事情が認められる場合には、父親に親権が認められる可能性が上がります

    • 母親の育児放棄、DVなど
    • 父親が積極的に育児に関与していたこと
    • 父親の方が経済的に余裕があり、養育環境が整っていること
    • 母親と同居する場合、子どもが転校しなければならないこと(父親と同居すれば、その必要がないこと)
    • 子どもが父親との同居を希望していること


    親権争いになると、多くの場合、調停や訴訟に発展します。
    そのため、上記の事情をできるだけ多く裁判官や調停委員にアピールして、ご自身が親権者として適任であることについて理解を得ることが大切です。

    参考:父親が子どもの親権を取るには? 親権者の決め方や養育費について

6、離婚問題の解決を弁護士に依頼すべき理由

妻の浮気・不倫による離婚問題が発生した場合には、以下の理由から、弁護士への相談をおすすめいたします。

① 有力な証拠を収集しやすい
弁護士は、浮気・不倫の証拠収集に関するノウハウや知見を持っているので、不貞行為の立証に向けて有力な証拠を収集できる可能性が高まります。

② 妻や浮気・不倫相手との交渉などを一任できる
弁護士に交渉を一任することで、依頼者の精神的な負担は大きく軽減されます。
また、調停・訴訟に発展する場合でも、手続き間の移行をスムーズに行うことが可能です。

③ 高額の慰謝料を請求できるケースもある
妻側の責任を裏づける事実を漏れなく抽出することで、慰謝料の増額が期待できます。

④ 早期の解決が目指せる
離婚に関する法的論点を整理して交渉を進めることにより、早期解決が実現する可能性が高まります。


離婚に関する手続きは複雑・専門的で、かつ当事者の精神的な負担も大きくなりがちです。
もし離婚問題にお悩みの場合は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

7、まとめ

妻の浮気・不倫が原因で慰謝料請求や離婚を検討する場合、当事者だけで解決しようとすると、感情的な問題からかえって争いが複雑化してしまうおそれがあります。
そのため、離婚問題への対応は、早い段階から弁護士への相談をおすすめいたします。

ベリーベスト法律事務所では、離婚に関するお悩みを丁寧にお伺いするカウンセリング型のご相談対応を行っており、安心してご依頼いただけます。離婚問題にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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