別居中の配偶者と離婚話が進まない! そんなときに出来る4つのこと
「同居をしたままではお互いにストレスがたまる」「どうしてもケンカになってしまう」などのことから、離婚を前提に別居をする夫婦も少なくありません。
しかし、別居をするとお互いに顔を合わせる機会が減り、離婚の話し合いが進まなくなってしまうこともあります。別居中の配偶者と離婚話が進まない場合には、どのように対応すればよいのでしょうか。
本コラムでは、別居中の配偶者と離婚話が進まない場合にできる4つのことについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、別居中の配偶者から離婚の合意を得ていなくても離婚できる?
別居中の配偶者から離婚の合意が得られていなくても、離婚をすることができるのでしょうか。まずは、なぜ相手と離婚話が進まないのか、事例を見ていきましょう。
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(1)別居中の配偶者と離婚話が進まないケース
別居中に離婚話が進まない要因には、さまざまなものが考えられます。
代表的なケースとしては、以下のものが挙げられるでしょう。① 離婚することを拒否している
相手と離婚をするには、基本的に双方の合意が必要です。そのため、相手が離婚を拒否している場合には、離婚の話し合いが進みません。
② 離婚の話を持ち掛けても反応がない・無視される
別居中だと、お互いに顔を合わせて話し合いをする機会がありません。また、離婚の話をするために電話やメール、LINEなどをしても反応がなかったり、無視されてしまったりして、離婚の話を進めることができないケースもあります。
③ 感情的になってしまう
離婚する段階に至った夫婦では、お互いの関係性も険悪になっていることが多く、話し合いをするとどうしても感情的になってしまうことが少なくありません。感情的になり、夫婦喧嘩に発展してしまうと、離婚の話をするのは困難でしょう。
④ 財産分与などの離婚条件に決着がつかない
離婚をする際には、離婚をするかどうかだけではなく、財産分与や慰謝料といった離婚条件についても決めていかなければなりません。離婚条件で合意が得られない場合も、離婚話が進まない要因のひとつです。
⑤ お互いに離婚話をするための時間がない
夫婦ともに仕事をしていたり、家事や育児で忙しかったりすると、離婚の話し合いをする時間をとることができないケースもあります。 -
(2)別居中の配偶者と離婚をする方法
上記のように離婚話が進まない場合には、配偶者から離婚の合意を得ることができません。このような場合にも、離婚をすることができるのでしょうか。
離婚をする方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。
協議離婚をする場合には、お互いに話し合いをして離婚の合意を得なければ離婚をすることができません。
そのため、別居中で離婚話が進まない場合には、協議離婚で離婚をすることは難しいといえます。勝手に離婚届を出すことは文書偽造という犯罪に該当しますので、絶対にしてはいけません。
調停離婚も話し合いの手続きである調停を利用した離婚であるため、相手が離婚に応じてくれない場合には、調停離婚をすることはできません。
そのため、最終的には離婚裁判で決着を付けることになります。ただし、離婚裁判によって離婚をする場合には、以下のような法定離婚事由が存在することが必要です。- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
3章で詳しく説明しますが、別居=法定離婚事由とは言い切れませんので、法定離婚事由に該当する事情がない場合には協議離婚や調停離婚を目指すか、法定離婚事由に該当するように別居を続けて離婚を目指す必要があります。
2、別居していて離婚話が進まないときに出来る4つのこと
別居中の配偶者と離婚話が進まない場合には、以下の方法を検討してみましょう。
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(1)相手から反応がないとき
離婚の話し合いをしようとして、別居中の相手に電話やメール、LINEをしても反応がない場合には、弁護士に依頼をして「協議離婚の申入書」などを送付し、交渉をしてもらう方法が考えられます。
本人からの連絡では、相手に対して離婚に向けた本気度が伝わらず、適当な扱いを受けてしまうことも少なくありません。しかし、弁護士が「協議離婚の申入書」などを送付することによって、相手に対して離婚に向けた本気度が伝わり、話し合いに応じてくれる可能性が高くなるでしょう。
別居していて離婚話が進まず、状況が硬直化してしまっている場合には、弁護士に依頼をすることによって事態を動かせる可能性があります。 -
(2)相手との話し合いで感情的になってしまうとき
「当事者同士の話し合いでは、どうしても感情的になってしまって離婚話が進まない」という場合にも弁護士への依頼が有効な手段です。
弁護士であれば、本人の代理人として相手との交渉を行うことができます。相手も弁護士が交渉の窓口になれば、感情的な物言いは控えることも多いため、冷静になって離婚の話し合いを進めることができるでしょう。
また、離婚の話し合いをする際には、離婚をするかどうかだけでなく、親権や養育費、慰謝料、財産分与などの離婚条件を決めなければなりません。このときも、弁護士が交渉することによって、適正な離婚条件で離婚をまとめることが期待できます。 -
(3)相手と離婚条件の話がまとまらないなど協議離婚が難しいとき
相手と離婚の話し合いをすることができたものの、離婚条件の話がまとまらないという場合には、協議離婚を成立させることは難しいといえます。
このような場合には、次の段階として、家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることを検討します。
離婚調停も基本的には話し合いの手続きになりますが、調停委員が間に入って話し合いを進めてくれるため、当事者だけでは離婚話が進まない場合には有効な手段となります。
離婚調停の申立てはご自身でもできますが、弁護士に依頼をすれば、離婚調停の申立てだけでなく、実際の調停期日に同行してサポートしてもらうことが可能です。
初めての調停にひとりで対応するのが不安だという方は、弁護士への依頼を検討しましょう。 -
(4)離婚調停で不成立のとき…離婚裁判で判決を受ける
離婚調停でも、離婚や離婚条件の合意が得られない場合は調停不成立です。この場合には、最終的に離婚裁判で解決を図ります。
ただし、すでに説明したとおり、離婚裁判では、法定離婚事由に該当する事情がなければ裁判所に離婚を認めてもらうことができません。
また、裁判手続きは非常に専門的かつ複雑ですので、一般の方では適切に進めていくことが難しいといえます。そのため、離婚裁判をお考えの方は、弁護士に依頼することをおすすめします。
3、離婚に向けた配偶者との別居に関する注意点
配偶者と別居をする際には、以下の点に注意が必要です。
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(1)一方的に別居して生活費も支払わないと悪意の遺棄に該当する可能性がある
夫婦には、扶助・協力義務があります。そのため、正当な理由なく一方的に別居をして、さらに生活費も支払わないという場合には、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当し、離婚を認めるか否かの判断において不利な扱いを受けるリスクが生じてしまうことに注意しなければなりません。
そのため、配偶者と生活するのが苦痛であったとしても、勝手に別居をするのではなく、きちんと話し合いをしてから別居をすることをおすすめします。もっとも、別居や離婚を考える理由が配偶者の暴力や暴言によるものなど、心身に大きな負担のかかるものである場合には、話合いをせずに黙って別居することも検討せざるを得ないでしょう。 -
(2)家庭内別居や単身赴任は別居と認められない
別居期間が長くなると、法定離婚事由の1つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当します。そのため、別居が長くなればなるほど離婚が認められやすくなります。
もっとも、家庭内別居や単身赴任では、別居とは認められません。
なぜなら、家庭内別居は、外見上は夫婦がひとつ屋根の下で生活をしていますので、家庭内別居であったことを立証することが困難だからです。
また、単身赴任は、仕事の都合による別居という正当な理由がありますので、夫婦関係の破綻を前提とした別居とは区別されることになります。 -
(3)不貞行為をすると慰謝料請求される可能性がある
別居をしたとしても、離婚をするまでは夫婦であることには変わりありません。そのため、別居中に配偶者以外の異性との間で不貞行為をすると、相手から慰謝料を請求されるおそれがありますので注意しましょう。
「別居しているのだから婚姻関係は破綻している」などの反論も考えられますが、裁判ではそのような主張は容易には認めてもらえません。
配偶者以外の異性と交際をするのであれば、きちんと離婚をしてからにしましょう。 -
(4)別居後の財産形成は財産分与の対象外
離婚時には、夫婦の共有財産を対象に財産分与を行います。
共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力して維持・形成してきた財産です。そのため、「夫婦の協力関係が解消された」と評価できる別居時以降に形成された財産は、財産分与の対象外になります。 -
(5)婚姻費用の不払いは離婚時に不利になるおそれがある
別居中は、収入の多い方が少ない方に対して「婚姻費用」という生活費を支払うことが必要です。
婚姻費用の支払いは、法律上の扶助義務に基づいて行われるものですので、正当な理由なく支払いに応じない場合には、「悪意の遺棄」に該当し、慰謝料を請求されるおそれがあります。
4、離婚に向けて考えておくことや話し合うべき事項
離婚をお考えの方は、配偶者に離婚を切り出す前に、以下のような準備をしておくとよいでしょう。
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(1)同居期間中の共有財産の確認
財産分与をする際は、お互いの財産を開示しあって、対象となる財産をリストアップしていきます。しかし、相手によっては、任意にすべての財産を開示せずに、一部の財産を隠してしまうこともあります。
このような財産隠しを防ぐためには、同居中に相手の財産を把握しておくことが大切です。
別居後では相手の財産を調べる機会がなくなってしまいますので、同居している間に共有財産の確認を行うことが推奨されます。 -
(2)離婚後の姓や住まい
婚姻後に姓を変えた方は、離婚に伴い旧姓に戻すか、婚姻時の姓を名乗り続けるのかの選択を行います。離婚時に慌てないようにするためにも、離婚後にどちらの姓を名乗るのかは事前に決めておくとよいでしょう。
また、離婚後は別々に生活をすることになりますので、離婚後の住まいを確保することも大切です。
実家が近い場合には、しばらくは実家に住むという選択もありますが、そうでない場合にはアパートなどを探さなければなりません。 -
(3)離婚後の収入の確保(経済的自立)
婚姻中であれば、たとえ別居をしていたとしても婚姻費用という生活費をもらうことができます。
しかし、離婚後は、お子さんに対しての養育費はありますが、配偶者から生活費の支援は一切なくなりますので、経済的に自立するためにも収入を確保しなければなりません。
特に、専業主婦または専業主夫であった方は、離婚前から就職先を探すなどの行動が必要になります。 -
(4)希望する離婚条件の明確化
離婚時には、離婚するかどうかだけでなく、親権や養育費、面会交流、慰謝料、財産分与など、さまざまな離婚条件を定めなければなりません。
スムーズに話し合いをするためにも、相場となる金額や自分の希望する条件を明確にしておかなければ、議論が平行線になってしまうおそれがあります。
また、別居していてなかなか離婚話が進まず、億劫になってしまってしまうこともあるでしょう。
しかし、しっかり話し合いをして折り合いをつけていかなければ、後々の後悔につながってしまいます。どのような離婚条件が妥当かわからないという方は、まずは弁護士に相談をしましょう。
5、まとめ
別居をしていると、さまざまな理由によって離婚話が進まないことがあります。
当事者同士だけでは離婚話が進まない場合には、弁護士のサポートを受けることによって、スムーズな話し合いが可能になることもあるでしょう。
また、説明したとおり、離婚時には財産分与や慰謝料などの条件も決めなければなりません。
「離婚の話を進めていきたい」「少しでも有利な条件で離婚をしたい」とお考えの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
離婚に向けて、一緒に進んでいきましょう。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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