専業主婦の熟年離婚|お金の不安を解消して後悔しないための準備
専業主婦の方が熟年離婚を考えるとき、離婚後の生活費や老後資金のことで不安を抱えるのは当然のことです。「子どもが大きくなったタイミングで離婚しよう」と早くに決めていた方でも、いざ50代・60代になると、金銭的な不安から躊躇してしまうケースも少なくありません。
一方で、このような葛藤を抱えながらも熟年離婚を選び、しっかりと準備しておくことで、残りの人生を自分らしく歩み始めることができたという方もいます。
本コラムでは、「離婚後に後悔したくない」という方のために、専業主婦が熟年離婚を検討するときに知っておきたい基礎知識や、離婚前に準備しておきたいことなどについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。
目次を
1、50代・60代の専業主婦が熟年離婚で直面する「お金の現実」
専業主婦の方が熟年離婚するとき、離婚後の生活費や老後資金をどう確保するかが大きな課題になります。まずは、近年の熟年離婚の傾向を確認したうえで、離婚後の生活費の考え方と別居中に請求できる婚姻費用についても知っておきましょう。
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(1)同居期間20年以上の離婚は増加傾向にある
近年、長年連れ添った夫婦が離婚するケースは増加傾向にあります。
厚生労働省が公表する「人口動態統計」によると、令和6年における離婚総数は18万5904件あり、うち同居期間20年以上の離婚件数は4万684件(全体の21.8%)でした。
下記のとおり、令和2年(2020年)から全体を占める割合が20%を超え、年々増加している状況です。10年前の平成26年(2014年)と比較すると、約5%も高くなっています。離婚総数 同居期間20年以上の離婚件数 令和6年(2024年) 18万5904件 4万684件(21.8%) 令和5年(2023年) 18万3814件 3万9810件(21.6%) 令和4年(2022年) 17万9099件 3万8991件(21.7%) 令和3年(2021年) 18万4384件 3万8968件(21.1%) 令和2年(2020年) 19万3253件 3万8981件(20.1%) 令和元年(2019年) 20万8496件 4万396件(19.3%) 平成26年(2014年) 22万2115件 3万6771件(16.5%) 弁護士からのメッセージ
ベリーベスト法律事務所 弁護士 遠藤 知穂50代・60代になると、「残りの人生は夫の世話係をやめて自分らしく生きよう」と、子どもの独立や夫の定年退職というタイミングを機に夫婦関係を終わらせる専業主婦の方もいます。離婚をお考えの方は、離婚後の人生を見据えて、しっかりと準備を進めていきましょう。合わせて読みたい
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(2)離婚後の生活費の考え方
離婚後は、原則として自分の収入や財産分与、年金などをもとに生活していくことになります。
特に専業主婦の場合は、離婚後すぐに安定した仕事が見つかるとは限りません。そのため、住居費・食費・医療費・保険料・税金・老後資金まで含めて現実的に考える必要があります。
財産分与の金額や毎月の生活に必要な費用、受け取れる年金額などは、離婚前から必ず確認するようにしましょう。
以下のリンク先では、専業主婦の方が離婚するときに知っておくべきお金のことを解説していますので、ご参考ください。合わせて読みたい
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(3)離婚前に別居する場合は婚姻費用を請求できる
離婚前にまずは別居を始めて、夫婦関係を見直す方も多数いらっしゃいます。
別居するにあたっては、収入が多い配偶者に対して「婚姻費用」を請求できる可能性があるため、知識として必ず押さえておきましょう。
婚姻費用とは、夫婦や子どもが生活するために必要な生活費のことです。
別居中の生活費を請求できる根拠は、夫婦は互いの生活費を分担する義務が民法第760条で定められていることにあります。
具体的な金額は、夫婦の収入・子どもの有無・年齢などによって異なるため、裁判所の婚姻費用算定表や、ベリーベスト法律事務所が公開する婚姻費用計算ツールを活用して、月々の目安を確認するとよいでしょう。
ただし、婚姻費用はあくまで離婚成立前の生活費であるため、離婚後の生活費とは区別して考えるようにしてください。
お悩みの方はご相談ください
2、熟年離婚でも損をしない! もらえるお金の仕組みと注意点
専業主婦の方が熟年離婚するときは、離婚時にどのようなお金を受け取れるのかを知っておくことが重要です。離婚を検討しはじめた時点から、もらえる可能性のあるお金の基本的な仕組みと注意点を知っておきましょう。
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(1)財産分与
財産分与とは、婚姻中に夫婦で協力して築いた財産を離婚時に分ける制度です。
民法768条に「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と、定められています。
専業主婦の場合でも、婚姻中に夫婦で築いた財産であれば、夫名義の預貯金や不動産などが財産分与の対象になる可能性があります。たとえば、結婚後に夫の給与から貯めた1000万円の預貯金がある場合、名義が夫だけであっても財産分与の対象になり得るということです。
離婚後の生活に直結してくる金銭であるため、熟年離婚では、財産分与でどれだけの財産を得ることができるかが重要といえます。
以下のリンクでは、財産分与のときに分け合う対象や割合などを詳しく解説していますので、ご一読ください。合わせて読みたい
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(2)年金分割
年金分割は婚姻期間中の年金記録を夫婦で分ける制度で、合意分割と3号分割の2つがあります。
合意分割では、当事者の合意または裁判手続きによって分割する割合(按分割合)を定め、3号分割では、一定の第3号被保険者期間について相手方の厚生年金記録を2分の1ずつに分割することが可能です。
具体的には、会社員の夫と専業主婦の妻が長年婚姻していた場合、夫の厚生年金記録の一部を妻側に分けることができます。
ただし、年金分割で増える年金額は限定的であり、老後の生活費を賄えるほどの金額にならないケースもあります。そのため、離婚後の生活設計では、財産分与でいかに多くの財産を確保できるか、就労できるかなどが特に重要なポイントになるといえるでしょう。
以下のリンクでは、年金分割を行う手続きの流れや注意点などを解説しているため、ご参考にしてください。合わせて読みたい
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(3)慰謝料
慰謝料は、相手の不貞行為やDV・悪質なモラハラなどの不法行為によって、精神的苦痛を受けた場合に請求できる損害賠償金です。
慰謝料を請求する際は、相手の有責行為を客観的に証明できる証拠を集めましょう。慰謝料請求したい、またはされる可能性があるという方は、以下のリンクから詳細をご確認ください。合わせて読みたい
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(4)養育費
養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要となる生活費や教育費などのことです。
もし、成人している子どもが大学生だった場合、大学進学の経緯や夫婦の合意・親の収入状況などによっては、大学を卒業するまで養育費を受け取れる可能性があります。
月々支払われる養育費の目安を知りたいという方は、裁判所の養育費算定表やベリーベスト法律事務所が公開する養育費計算ツールをご活用いただくことがおすすめです。
また、以下の記事もご参考にしてください。合わせて読みたい
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(5)住宅ローン
住宅ローンが残っている自宅がある場合、売却するのか、どちらかが住み続けるのかを慎重に決めることが必要です。
たとえば、妻が自宅に住み続ける場合でも、住宅ローンの契約者が夫のままだと、返済が滞ったときにトラブルになるおそれがあります。
他方で、自宅を売却してもローンが残る場合は、残債をどう負担するかを話し合わなければなりません。
家の財産分与を見据えて、ローンや税金の注意点を知りたいという方は、以下のリンク先の記事をご確認ください。合わせて読みたい
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(6)退職金
熟年離婚では、配偶者の退職金も重要な財産のひとつです。すでに支払われた退職金だけでなく、近い将来に支給される見込みが高い退職金も財産分与の対象になる可能性があります。
したがって、夫が数年以内に定年退職する予定で退職金の見込み額がわかる場合、そのうち婚姻期間に応じた部分が財産分与の対象となることがあります。
ただし、退職までの期間が長い場合や支給の確実性が低い場合は、争いになりやすいため注意が必要です。
お悩みの方はご相談ください
3、専業主婦が「熟年離婚」という選択を後悔しないために行うべき準備
専業主婦が熟年離婚の選択で後悔しないためには、離婚を切り出す前から準備を進める必要があります。特に重要となる準備は、次の3つです。
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(1)財産の把握
まずは、夫婦にどのような財産があるのかを把握することが重要です。
夫名義の預貯金や不動産であっても、婚姻中に築いたものであれば財産分与の対象になる可能性があります。そのため、預貯金・保険・不動産・退職金・年金情報などをできる範囲でリストアップしておきましょう。
たとえば、通帳・保険証券・固定資産税の通知書・退職金規程・ねんきん定期便などは、財産を確認するための資料になります。
なお、女性だからこそ離婚前に準備しておくべきこと・知っておくべきことがたくさんあります。以下のリンク先のページで網羅的に解説しておりますので、ぜひご一読ください。合わせて読みたい
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(2)生活基盤の確保
離婚後の生活を安定させるには、住まいと収入の見通しを立てておく必要があります。専業主婦の場合、離婚後すぐに十分な収入を得られるとは限らないため、毎月の生活費を具体的に試算することが大切です。
家賃・食費・医療費・保険料・税金・交通費などを書き出すと、必要な生活費が見えやすくなります。あわせて、離婚後に住む場所や仕事探しについても早めに考えておきましょう。
実家に戻る・賃貸住宅を探す・パートや再就職を検討する・公的支援を確認するなど、選択肢を整理しておくことがおすすめです。
以下のリンク先では、離婚に際して押さえておくべき公的支援のことを紹介していますので、離婚後の生活に不安があるという方はご確認ください。合わせて読みたい
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(3)証拠の確保
慰謝料請求や財産分与で不利にならないためには、証拠を確保しておくことも大切です。
相手に不貞行為(不倫)・DV・モラハラなどがある場合、メール・LINE・写真・録音・診断書・日記などが証拠になることがあります。また、財産隠しに備えるためにも、預貯金や不動産・退職金に関する資料は保管しておきましょう。
ただし、証拠の集め方によってはトラブルになるおそれもあります。どのように証拠を集めるべきか迷ったときは、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
お悩みの方はご相談ください
4、熟年離婚を決意したら離婚弁護士に相談をしよう!
熟年離婚を決意した際は、早い段階で弁護士への相談を検討しましょう。以下では、弁護士ができることや弁護士費用について解説します。
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(1)なぜ弁護士に相談したほうがよいのか
熟年離婚では、財産状況や離婚条件など確認すべき項目が多く、当事者だけでは見落としが生じやすい傾向があります。
特に次のような状況では、不利な条件で離婚に合意してしまうおそれがあるため、早い段階で弁護士に相談することがおすすめです。- 夫名義の財産が多く、全体像がわからない
- 相手が預貯金や退職金などの資料を見せてくれない
- 相手が離婚条件に応じず、交渉が難航している
弁護士に任せれば、請求できる可能性がある財産やお金を整理でき、相手との交渉も任せることができます。精神的な負担を軽くしながら、離婚後の生活を見据えた条件を検討しやすくなるでしょう。
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(2)依頼を受けた弁護士ができること
依頼を受けた弁護士は、離婚条件の整理や相手との交渉、離婚調停の対応などが可能です。
また、別居中の生活費が必要な場合は婚姻費用の請求、相手に不貞行為などがある場合は慰謝料請求の検討や見立てを立てることもできます。
離婚するにあたって、配偶者と合意できる内容については、離婚協議書や公正証書の作成をサポートし、離婚後のトラブル防止につなげることも可能です。 -
(3)弁護士費用の支払いに不安がある方へ
弁護士費用が不安なときは、相談時に費用総額の目安や支払い方法を確認しましょう。
初回相談料を無料としている法律事務所を選べば、費用負担の心配なくアドバイスを受けられます。
また、ベリーベスト法律事務所では、弁護士に依頼を決めていただく前に、弁護士費用の見積もりを出してもらうことが可能です。分割払いができる場合もありますので、詳しくは「弁護士費用|ベリーベスト法律事務所」のページをご確認ください。
お悩みの方はご相談ください
5、専業主婦の離婚に関するベリーベスト法律事務所の解決事例
ベリーベスト法律事務所の解決事例から、熟年離婚や専業主婦の離婚で参考になる事例を3つ紹介します。
早期の離婚を望む夫から高額の財産分与を得た事例
交渉の結果、自宅不動産の評価額が有利に認められ、約900万円の財産分与を獲得し、年金分割の手続きも行いました。
詳しくは、「早期の離婚を望む夫から高額の財産分与を得た事例」をご覧ください。
熟年離婚で財産分与や慰謝料請求などが成功した事例
不動産・保険・預貯金・退職金相当額などを財産分与の対象として主張し、財産分与約1300万円、慰謝料200万円の支払いを受ける内容で解決しました。
詳しくは、「熟年離婚での財産分与や慰謝料請求など、高額な金銭請求が成功した事例」をご覧ください。
比較的短期間で高額の婚姻費用が得られた事例
夫の収入資料を準備したうえで調停を進め、4か月で収入に見合った婚姻費用の支払いを認める内容の調停が成立しました。
詳しくは、「比較的短期間で調停が成立し、高額の婚姻費用が得られた事例」をご覧ください。
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6、まとめ
専業主婦が熟年離婚を考えるときは、離婚後の生活費や老後資金について不安を感じやすいものです。しかし、財産分与や年金分割・婚姻費用・退職金などを正しく把握しておけば、離婚後の生活設計を立てやすくなります。
また、準備を何もしないままで離婚を進めると、不利な条件で合意してしまうおそれがあります。離婚を切り出す前に財産の資料を集め、住まいや仕事など生活基盤の準備も進めておきましょう。
ベリーベスト法律事務所では、離婚専門チームを編成しており、後悔のない離婚を実現できるよう知見豊富な弁護士がサポートいたします。専業主婦で離婚に不安がある方や、離婚条件の取り決めに不安をお抱えの方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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