離婚協議書の作り方

離婚協議書を作成するにあたっては、いくつか注意すべきポイントがあります。
後々後悔しないためにも正しい知識を身につけましょう。

目次 [非表示]

協議書を作成するメリット

離婚協議書に関するよくあるご質問の例

  • 書面化することで養育費の額など、合意内容をめぐった離婚後のトラブルを防止することができます
  • 協議書を「公正証書」として作成することで、相手方が慰謝料や養育費などの支払いを怠った場合、即座に強制執行の手続をとることができます

協議書作成時に注意するポイント

協議離婚において定めておくべきもの

協議書を作成するにあたり定めるべきポイント、それについての条項例、注意点をご説明いたします。

親権者・監護権者の指定及び面会交流

親権者・監護権者を定める場合の掲載例

「甲と乙は、本日、甲乙間の長男○○(平成○年○月○日生、以下「長男○○」という。)の親権者を乙と定めて協議離婚することを合意し、協議離婚届出用紙に所定の事項を記載して署名捺印し、乙は届出を甲に委託した。甲は、平成○年○月○日限り、○○区役所にその届出をする。」

親権者・監護権者に関する注意点

  • 未成熟子がいる場合には、離婚の際に親権者や監護権者を決める必要があります。
  • 協議離婚は離婚届を提出して初めて離婚が成立します。協議書で離婚届を役所に届け出る者についても明記しておきましょう。
面会交流を定める場合の掲載例

「乙は、甲が長男○○と、月に○回程度面接することを認め、その具体的な日時、場所、方法等については、子の福祉を慎重に配慮し、甲乙協議して定める。」

面会交流に関する注意点

  • 親権者を定めた場合、親権を持たないことになった親は子どもとの面会交流ができますので、子どもに会う方法についても取り決めをします。
  • 面会交流について具体的な方法等についても決まっているのでしたら、離婚後トラブルが起きないように、日時(たとえば、毎月第一日曜日午後1時から午後5時など)、場所、方法についても協議書に明記しておきましょう。

養育費

養育費の記載例

「甲は、乙に対し、長男○○の養育費として、平成○年○月から同人が成人に達する月まで毎月末日限り、金○○万円を○○銀行○○支店の乙名義の普通預金口座(口座番号○○○)に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。」

養育費に関する注意点

  • 金額と支払日(「毎月末日限り」など)、支払終期(「子どもが20歳に達する日の属する月まで」など)、について決めます。
  • 支払始期は離婚が成立した日の属する月からと決めるのが一般的です。
  • 振込先口座も忘れずに明記してください。後日のトラブルを避けるため振込手数料の負担者も決めておきましょう。
  • 将来、子どもに高額の学費が必要になった場合や子どもが病気にかかってしまった場合に備えて、「○○が入院、入学等により高額の費用を要するに至った場合には、その費用の負担について、当事者双方で協議する。」という記載を入れることもあります。
  • 支払口座を子ども名義の口座にしておくと、支払う側も気持ち良く支払うことが多いようです。

慰謝料・財産分与

慰謝料・財産分与の記載例

「甲は、乙に対し、本件離婚による慰謝料として、金○○万円の支払義務があることを認め、これを平成○年○月○日限り、○○銀行○○支店の乙名義の普通預金口座(口座番号○○○)に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。」

慰謝料・財産分与に関する注意点

  • 金額と振込先口座、振込手数料の負担者を決定します。
  • 慰謝料と財産分与をそれぞれ別項目にして決めることもできますが、「慰謝料」という用語を使用することに相手方が難色を示す場合には「解決金」などという言葉を用いて慰謝料と財産分与を合わせた額の支払義務を定めることもできます。
  • 財産分与でよく問題となるのが、不動産の帰趨についてです。不動産については対象を特定するために登記を取得し物件目録を作成します。所有権者を変更する場合は移転登記手続費用についての負担者も決めておきましょう。

その他の離婚協議書に関する注意点

  • 協議離婚に関する書面には、法律上制限はありません。名称も「合意書」のほか、「協議離婚書」、「覚書」等の名称が用いられています。
  • 離婚後、養育費や慰謝料の支払義務者が協議書のとおりに支払ってくれる保証はありません。

離婚協議書を公正証書にすることで離婚後のトラブルを防止

任意に支払ってくれない場合、協議書の作成だけでは強制力がないため、裁判をする必要が生じます。この場合、ある程度の費用と時間を覚悟しなければなりません。

このようなことにならないためにも協議書を「公正証書」という形にすることが有効です。公正証書とは公証人の作成した文書で、その文書に「直ちに強制執行に服する旨の陳述」を明記しておきます。

このような公正証書があれば、支払義務者が支払ってくれない場合、裁判をすることなく強制執行をすることで履行を確保することが出来ます。

特に養育費は子どもの福祉のために必要なものですから、支払ってくれない場合の履行確保の手段として公正証書の作成を検討しましょう。

参考:
離婚に伴い決定したことを公正証書にするメリットとデメリット
離婚協議書と公正証書の違い
離婚時に決定したことを公正証書にする方法や費用

弁護士からのアドバイス

弁護士

弁護士に協議書作成を依頼すれば、事案に応じて適切な文章で書面化することができ、将来のトラブルを避けることができるだけでなく、納得感・安心感の高い書面を作成することができます。
協議書の作成についてもベリーベスト法律事務所にお任せください。

PAGE TOP