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財産分与の割合は“原則2分の1” 変更が認められるケースは?

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更新日:2022年05月06日  公開日:2022年05月06日
財産分与の割合は“原則2分の1” 変更が認められるケースは?

離婚をする際には、これまで夫婦が築き上げてきた財産を分けるという「財産分与」が行われます。離婚後に安定した生活を送るためには、この財産分与できちんと財産を分けることが大切です。

財産分与は、夫婦の財産を2分の1で分けるという「2分の1ルール」が採用されていますが、さまざまな事情によってこの割合を変更することが可能なケースもあります。

今回は、財産分与の基本的なルールと財産分与の割合の変更が認められるケースについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、財産分与の割合「基本ルール」

財産分与をする際には、どのような割合で財産を分けることになるのでしょうか。
以下では、財産分与の割合に関する基本的なルールについて説明します。

  1. (1)財産分与の割合は原則として2分の1

    財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた夫婦の共有財産を離婚時に夫婦で清算することをいいます。財産分与は、夫婦の貢献度に応じて財産を分ける制度ですが、実務上は、財産分与の割合は、原則として2分の1とされています。

    これは、夫婦の婚姻生活中の貢献度は等しいと考えられているからであり、夫が会社員、妻が専業主婦の夫婦であったとしてもこの考え方は変わりません。このケースでは、夫婦の財産の大部分は夫の収入で形成されていることになりますが、妻は家事や育児によって夫をサポートすることで財産形成・維持に貢献してきたといえるからです。

  2. (2)当事者の合意で財産分与の割合を変更することは可能

    財産分与の割合に関する「2分の1」ルールは、必ずその割合にしなければならないというわけではありません。そのため、夫婦がお互いに合意できるのであれば、2分の1とは異なる割合で財産分与をすることができます

    たとえば、1日でも早く離婚をしたいという場合には、財産分与の割合を交渉材料として早期の離婚を実現するということもあります。また、極端なケースでいえば、夫婦の合意があれば一方の財産分与の割合をゼロにすることも可能です。

2、財産分与の割合変更が認められ得るケース

前述のとおり、財産分与の割合は2分の1が原則ですが、夫婦の合意があれば、割合を変更することが可能です。
それでは、夫婦の合意がないときでも、割合変更は認められることはあるのでしょうか。

このような場合、貢献度に偏りがあるケースでは、例外的に財産分与の割合変更が認められることがあります。具体的なケースを見ていきましょう。

  1. (1)特殊な才能・能力によって財産を築いたケース

    夫婦のどちらか一方の特殊な才能または能力によって夫婦の共有財産の大部分が形成されたという場合には、財産分与の割合を修正して、財産を築いた側がより多くの財産をもらうことができる可能性があります。

    たとえば、医師や弁護士など特定の資格を有することによって高収入を得ている場合には、当該資格を取得するために努力を重ねてきた結果と評価することができますので、財産形成に対する貢献度は高いと考えられる可能性があります。

    また、会社経営者なども本人の経営能力や人脈によって一般の方よりも多くの収入を得ている場合がありますが、この場合も本人の才能や能力によって多くの財産を形成してきたと評価され、貢献度が修正される場合があります。

  2. (2)一方の浪費が激しかったケース

    財産分与の割合は、夫婦の財産形成・維持に対する貢献度によって決めるという考え方が根底にありますので、夫婦の一方が財産形成・維持に対する貢献度が著しく低いという場合には、財産分与の割合が修正されることがあります。

    たとえば、夫がギャンブルやブランド品の購入などの浪費によって夫婦の財産を著しく減少させたという事情がある場合には、夫の財産分与割合は2分の1よりも低くなる可能性があります。

  3. (3)特有財産を元手にして財産を築いたケース

    財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中の夫婦の協力関係によって維持・形成してきた「共有財産」に限られますので、夫婦の協力関係とは無関係に築いた「特有財産」については、財産分与の対象外となります

    また、特有財産を元手にして財産を築いたというケースでは、当該財産形成に特有財産が寄与した割合が大きいため、財産分与割合が修正されることもあります。

    たとえば、遺産相続によって親の不動産を得ていたとき、その不動産の賃貸収入は、特有財産から派生した利益であるといえます。また、独身時代に購入した株が婚姻中に高騰したとしても、それは夫婦の協力関係とは無関係な事情です。そのため、基本的にはこれらを除外したうえで財産分与を行うことになります。

    なお、このような事情のある財産が共有財産と混在している場合には、財産分与の割合を修正して特有財産を保有する側に有利に財産分与を行うこともありえますが、原則として、共有財産と混在している場合には全てを共有財産として財産分与が行われます。共有財産から除外するためには、お金の流れを細かく示す必要がありますので、非常に困難です。

3、原則、財産分与は養育費や離婚慰謝料とは分けて考える

離婚時には、さまざまなお金の取り決めをすることになります。『お金の話だから、個別に考えずにまとめて金額を出したい』と相手から言われることもあるかもしれませんが、財産分与と養育費・慰謝料は別の問題になりますので、分けて考える必要があります。

  1. (1)子どもの養育費

    子どもがいる夫婦の場合には、離婚時にどちらが親権者になるかを定めなければなりません。また、親権者となり子どもと一緒に生活する側(監護親)は、子どもと別に暮らす側(非監護親)に対して、子どもの養育費を請求することができます。

    養育費の金額については、法律上の決まりはありませんので、夫婦の合意があればどのような金額であっても問題ありません。しかし、相場がなければ決めることが難しいこともありますので、その場合には、裁判所が公表している養育費の算定表を使うのがよいでしょう。

    養育費の算定表は、夫婦の収入と子どもの人数・年齢に応じて相場となる養育費の金額がグラフ化されているものであり、実務においても広く利用されているものです。ただし、養育費の算定表は、夫婦それぞれの収入が2000万円までしか記載されておらず、また、明確化するために細かい事情については考慮せずに算出された金額をもとに作成されています。そのため、養育費の算定表をそのまま利用するのは不適切な場合があります。

    適正な金額を算定するためには、個別事情に応じた修正が必要になることがありますので、その場合には、弁護士に相談をするようにしましょう。

    なお、財産分与には、一般的な清算的財産分与のほかに、離婚によって経済的に著しく不安定になる場合には扶養的財産分与が行われることがあります。その場合、離婚後に安定した収入を得るまでの一時的なものになりますが、養育費とは別に扶養的財産分与として生活の援助を受けることが可能です。

  2. (2)離婚時の慰謝料

    夫からDVを受けていた、妻が不貞行為をしていたなど夫婦の一方に婚姻関係破綻を招いた有責な事情がある場合には、離婚時に慰謝料を請求することができます。慰謝料を請求するには、夫婦の一方に有責性が必要となりますので、価値観の相違や性格の不一致など夫婦のどちらか一方に明確な有責性がない事案では、慰謝料は認められません。

    なお、財産分与には、「慰謝料的財産分与」という方法もあり、財産分与の一環として慰謝料を含めた金額を請求することができます。ただし、通常の慰謝料請求と慰謝料的財産分与によって二重に慰謝料の支払いを受けることができるというわけではありません。

    慰謝料的財産分与によって十分な慰謝料の支払いを受けた場合には、通常の慰謝料請求を行うことはできなくなりますので注意が必要です。

4、離婚時の財産分与を弁護士に相談するべき理由

離婚時の財産分与をお考えの方は、以下のような理由から弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)財産分与の割合を調整することができる

    財産分与の割合は、原則として2分の1とされていますが、個別事案によっては2分の1の割合を修正することが可能な場合もあります。財産分与によって適正な財産を分けてもらうことは、離婚後に安心して生活を送るためにも不可欠なものとなりますので、財産分与の割合を修正することができる事情がある場合には、しっかりと主張していくことが大切です。

    しかし、一般の方では、どのような事情があれば財産分与の割合を修正することができるのか、どの程度修正することができるのかを判断することはできないでしょう。弁護士であれば、財産分与の割合を修正することができる事案であるかを判断したうえで、個別具体的な状況を踏まえて、主張を行うことが可能です。

  2. (2)財産調査による適正な財産分与ができる

    適正な財産分与を行うためには、お互いの財産を正確に洗い出すことが大切です。しかし、任意に開示を求めたとしても、"相手に知られていないから大丈夫だろう"と思い、一部の財産を隠したまま財産分与を進めようとする方もいます。

    弁護士であれば、弁護士会照会という弁護士だけが利用することができる照会方法によって相手が隠している財産についても明らかにする方法があります。また、調停・審判・裁判などになっている場合には、家庭裁判所の調査嘱託という制度を利用することによって、相手の財産を明らかにすることも可能です。

    正確な財産を把握するためにも財産分与をする際には、弁護士に相談をしましょう。

  3. (3)調停・審判・裁判などは個人での対応が難しい

    多くの方は、離婚時に財産分与を請求することになるため、財産分与以外にも離婚するかどうかや慰謝料、親権、養育費、面会交流などの離婚条件についても話し合う必要があります。そのため、事案によっては話し合いで解決することができず、離婚調停や離婚裁判にまで発展するケースも少なくありません

    このような裁判手続きに発展した場合、個人で対応し続けることは非常に難しいため、弁護士に依頼をしてサポートを受けることをおすすめします。弁護士に依頼をすることによって、調停であれば申し立てから期日の同席まで対応してもらえますし、裁判であれば、ご本人に代わって裁判所に出頭してすべて対応してもらうことが可能です。

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5、まとめ

財産分与の割合は、原則として2分の1とされていますが、その割合は当事者の合意によって変更することが可能です。また、合意がなかった場合でも財産分与の割合を修正することが可能なケースもあります。

財産分与の割合をどのようにするかは、慎重な対応が必要となりますので、まずは、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

 
この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 東京都 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-666-694
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
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※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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