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離婚してくれない夫、なぜ離婚に応じない? 考えられる理由と対処法

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更新日:2023年09月21日  公開日:2019年08月29日
離婚してくれない夫、なぜ離婚に応じない? 考えられる理由と対処法

夫に「離婚したい」と切り出しても、夫が離婚を拒否したり、話に応じてくれなかったりするケースがあります。

そのようなとき、妻としては「離婚したいのに、どうすればよいのだろう」と悩みを抱えてしまうはずです。夫はなぜ離婚に応じないのか、考えられる理由を知りたいとお考えの方もいるでしょう。

本コラムでは、離婚を切り出してから夫が離婚に応じない理由や、なかなか離婚してくれない場合の対処方法について、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

1、夫が離婚してくれない5つの理由

妻が結婚生活に疲れ切って離婚したいと思っても、夫は離婚する気が全くないという場合もあります。
妻が真剣に離婚したいというのですから、愛情も信頼も消えてしまっているはず…。それでも離婚してくれない夫は、いったいどういう気持ちなのでしょうか。

  1. (1)世間体を気にしている

    離婚が増えたといっても、まだまだ離婚は世間体が悪いという発想の方もいるようです。特に、職業や会社によっては、離婚によって信用を下げると思い込んでいる男性もいます。夫がそんな考えを持っていれば、世間体を気にして、離婚を嫌がっている可能性があります。

  2. (2)まだやり直せると思っている

    男性によくあるケースとして、「まだやり直せる」「妻の気持ちが元に戻る」と、軽く考えていることがあります。一般論として、女性が別れを切り出した場合、気持ちが戻る可能性は極めて低いと言われています
    にもかかわらず、妻の気持ちを本気と捉えることなく、まともに取り合わない男性の心理は、女性にはわかりにくいものです。

  3. (3)離婚理由がよくわからない

    妻にとっては重大な問題が、夫から見るとささいなことに見えることがあります。たとえば、夫の家族との関係がつらいとか、家事に協力しない夫に耐えられないなど、妻の耐え難い気持ちが伝わりにくいケースもあります。

  4. (4)離婚によって妻に財産を渡すのが嫌

    離婚の際には、夫婦で築いた財産を相手配偶者と分け合う必要があります。夫からすると、離婚を言いだした妻に財産を持っていかれることになり、これが悔しくて離婚できないという男性もいます。
    まして、自分に不貞などの不法行為があると、財産分与に加えて慰謝料まで支払う必要があります。こうした財産の問題は、夫が離婚してくれない場合の大きな原因のひとつです。

  5. (5)子どもと会えなくなるのが心配

    未成年の子どもがいる場合、親権は母親がもつケースが多いものです。すると、親権を失った父親は子どもと一緒に暮らせなくなり、会おうとしてもなかなか会えないという状況が予想されます。
    離婚自体は嫌ではないが、子どもと離れるのだけは嫌だと言って、夫が離婚に応じないケースも多々あります。

2、離婚してくれない夫と離婚するための法的な条件

  1. (1)法律上の離婚原因とは

    夫がどんなに離婚を拒んでも、夫の側に法律上の離婚原因があれば、離婚が認められます。法律上の離婚原因とは、不貞(浮気)、悪意の遺棄(生活費を全く渡さないなど)、3年以上の生死不明、回復見込みのない強度の精神病が挙げられます。

    たとえば、夫がほかの女性と不貞関係にあるならば、それを理由に離婚ができるわけです。逆に言えば、このようなはっきりとした離婚原因がなければ、原則として離婚は認められにくいのが実情です。

  2. (2)婚姻を継続し難い重大な事由とは

    不貞などのはっきりした離婚原因がない場合でも、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が立証できれば、離婚が認められます。
    具体的には、モラハラ(心理的虐待)、宗教上の問題、性生活の問題、浪費や借金、親族との著しい不仲、性格の不一致などが挙げられます。

    いずれにしても、こうした事情があるだけではなく、それをきっかけとして、夫婦関係が修復不能な程度に破たんしていることが離婚の要件となります。
    なお、婚姻破たんの認定には同居・別居期間の長短が重要な意味を持ちます。同居期間に照らして別居期間が長ければ長いほど、婚姻の破たんが認められやすい傾向にあります。

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3、夫が離婚してくれない場合にできる対処方法

  1. (1)夫の離婚原因を探す

    不貞行為や、ひどい暴力など、離婚原因になることはないか、今までを振り返って考えてみてください。モラハラなども、程度次第では離婚の原因として主張できる可能性があります。
    主張する事実と、その証拠となる記録を探したり、または、今後はすべて録音したりするなどして、残しておくようにしましょう。

  2. (2)別居する

    明確な離婚原因がない場合、なによりも重要なのは別居期間の長さです。夫婦の本質は、同居による共同生活です。それを根拠に夫婦はお互いに同居義務を負っているわけです。
    別居期間が長引けば、夫婦の実態が失われていることの強力な証拠となります。

    逆に言えば、不貞などの決定的な離婚原因がなく、文句を言いながらでも同居生活を続けているならば、客観的に見て夫婦が破たんしているとは言えません。
    どうしても離婚したいならば、まずは別居を始めることも考えましょう。

  3. (3)離婚意志が固い場合は弁護士に相談する

    妻側が必死で離婚を求めても、夫が嫌がり続ける限り、離婚は進みません。この状態で離婚の交渉を続けるのは、相当疲れることです。

    夫とやり直す気があるならともかく、あなたにその気がなく、離婚意志が固いのならば、当事者間で話し合っていてもらちがあきません。 早めに弁護士に相談して、実効的な手段を検討するべきでしょう。

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4、話し合いで解決しない場合の手順

  1. (1)離婚調停

    どうしても夫が離婚に応じず、夫婦間で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の離婚調停を申し立てるしかありません。

    離婚調停は、男女1名ずつの調停委員がひとつの事件を担当します。
    夫婦は同じ日に呼び出されますが、面と向かって意見を言い合うわけではありません。夫婦が交互に調停室に呼ばれ、ひとりずつ自分の言い分を調停委員に伝えます。

    調停委員は「旦那さんはこう言っていますよ」「奥さんはこんなお気持ちですよ」というふうに、お互いの言い分を聞いて相手に伝えたり、提出される書面や資料などを見ながら、何らかの結論が得られるように、両当事者の調整を試みたりします。
    なお、調停はあくまで、裁判所の場所を借りた話し合いの機会です。調停委員や裁判所が、どちらかの意思に反して結論を出すことはありません。したがって、双方の意見が食い違い、離婚の合意に至らなければ、調停は成立しません。

    何度か調停を行っても、合意が得られそうになければ、調停は不成立に終わります。なお、裁判所からの呼び出しに相手が応じず、出頭しない場合にも、調停は不成立で終了します。

    【参考】
    離婚調停とは
    離婚調停を有利に進めるための方法

  2. (2)離婚裁判

    離婚調停が不成立で終わったけれども、それでもどうしても離婚をしたいという場合、いよいよ離婚裁判を提起します。

    離婚裁判とは、裁判所に対して、相手の意思に反してでも離婚を認めるように求める手続きです。協議離婚や調停離婚では、相手の意思が重要です。
    つまり、どんな証拠があっても相手が合意しなければ離婚はできませんし、逆に、全く証拠がなくても、相手が合意すれば離婚できるわけです。
    他方、離婚裁判で勝つためには、とにかく証拠がものを言います。証拠をもとに、裁判官がこの夫婦はすでに破たんしていて修復不可能だと判断すれば、相手がどんなに嫌がっていても、法的に離婚が認められるのです。

    なお、調停離婚でも、裁判離婚でも、離婚が成立した後に、自分で役所に離婚届を出す必要があります。裁判所から後日送られてくる届け出用の書類と、離婚届を記入して、役所に提出することで、戸籍が書き換えられるという仕組みです。

    【参考】
    離婚裁判とは?
    離婚訴訟(裁判離婚)の流れは? 費用や期間はどれくらい?裁判例も紹介

5、まとめ

離婚したいのに離婚してくれない、何事もなかったかのように平然と暮らそうとする夫を前にすると、どうしたらよいのかわからない気持ちになるでしょう。
そんなとき、ひとりで悩んでいても前には進みません。離婚は人生の一大事といえます。これからの大切な一日一日をどう生きるか、すべてはあなた次第です。

ベリーベスト法律事務所では、離婚に悩む方の心に寄り添い、どんなご事情でも親身にお話を伺います。離婚専門チームの弁護士が、あなたの新しい人生のため、最善の選択ができるようにご相談に対応していますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

また、事務所へお越しいただくことが難しい方やご多忙の方のために、Zoomなどを活用したオンライン相談も承っております。オンライン相談をご希望の方は、その旨お知らせください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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