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家庭内での不機嫌ハラスメント(フキハラ)の特徴と原因、対処法とは

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更新日:2026年09月17日  公開日:2026年09月17日
家庭内での不機嫌ハラスメント(フキハラ)の特徴と原因、対処法とは

ため息や無言、威圧的な態度などによって家族を委縮させる行為は、「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」と呼ばれることがあります。

家庭内で行われる不機嫌ハラスメントは暴言や暴力のようにわかりやすい形で表れにくく、一時的なものとして軽視されがちです。しかし、その影響は決して軽いものではなく、長期間にわたって続くことで心身の不調や家庭崩壊、離婚を検討する事態に発展することもあります。

本コラムでは、家庭内で行われる不機嫌ハラスメントの概要や特徴、夫・妻がフキハラをしてしまう原因や影響、具体的な対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

目次を

1、不機嫌ハラスメントとは? 家庭内で行われるフキハラの特徴例

家庭内での不機嫌な態度が配偶者や子どもに強い精神的負担を与えている場合、それは「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」に該当する可能性があります。不機嫌ハラスメントの概要だけでなく、モラルハラスメントやDVとの違い、家庭内で実際に見られる具体的な行動例についても確認していきましょう。

  1. (1)不機嫌ハラスメント(=フキハラ)の概要

    不機嫌ハラスメントとは、怒りや不満を直接言葉で伝えるのではなく、不機嫌な態度や空気によって相手を委縮させ、精神的な圧力を与える行為のことです。モラルハラスメント(=モラハラ)の一種として捉えられることもあります。

    家庭内で夫や妻が不機嫌な状態を続けることで、配偶者や子どもが「機嫌を損ねないように発言・行動しなければならない」と感じてしまう状況が生じやすくなります。

    また、不機嫌にならないように、「いつ爆発するか」「何が地雷か」を察知するために常に神経を研ぎ澄まさなくてはならず、顔色をうかがう毎日で慢性的な疲労につながることも少なくありません。

    特に負の感情は伝播しやすく、家全体の空気を暗く沈めてしまうものであり、不機嫌で家族をコントロールすることは精神的なハラスメントとして問題になることがあります。

  2. (2)フキハラ・モラハラ・DVの違いと共通点

    不機嫌ハラスメントやモラハラ、DVは、それぞれ独立したものではなく、グラデーションのようにつながっています。

    特徴
    フキハラ 不機嫌な態度(ため息、無言、物音)で周囲に気を遣わせる行為。威圧的な「態度」が中心で、直接的な言葉は少ない。
    モラハラ 言葉や態度による精神的DVのこと。暴言や説教、人格否定など、相手を下に見る言動によって自尊心を削る。
    DV DVに含まれるものは、殴る蹴るといった身体的DVだけでなく、経済的DV・性的DV・精神的DV(=モラハラ)など多岐にわたる。

    上記のとおり、3つにそれぞれ違いはあるものの、家庭内で上下関係や支配的な構造を生みやすいことに共通点があります。

    なお、地続きであるからこそ、フキハラが日常のベースにあり、その上にモラハラやDVが並行して行われていることも少なくありません。

  3. (3)家庭内で行われるフキハラの具体的な行動例

    家庭内で見られるフキハラの行動例としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 大きな音を立てる:ドアを勢いよく閉める(=ドアバン)、足音を荒らげて歩くなど。
    • 表情で威圧する:眉間にしわを寄せ続ける、冷淡な視線を送るなど。
    • ため息をつく:不機嫌を示すために、見せつけるように深いため息をつく。
    • 無視する:同じ部屋にいても背を向け続けたり、話しかけても生返事、あるいはまったく目を合わせなかったりする。
    • 物へ八つ当たりをする:ゴミ箱を蹴る、リモコンを投げ置くなど、直接人には手を出さなくても物に当たる。


    このように、不機嫌でコミュニケーションが遮断されると、家庭が本来持つべき安心感が失われ、不安や不信感、緊張感が増大しかねません。


2、夫・妻はなぜ不機嫌ハラスメントをするの? フキハラの原因や影響

家庭内で不機嫌ハラスメントが生じる背景には、複数の要因が重なっていることが少なくありません。2章では、夫や妻がフキハラをしてしまう主な原因と、フキハラを受ける側にどのような影響が生じるのかについて説明します。

  1. (1)不機嫌ハラスメントが起こりやすい主な原因

    不機嫌ハラスメントが起こる理由としては、以下のような要因が考えられます。

    • 「自分の気持ちを察してほしい」という承認欲求
    • 家庭内で「優位な立場に立ちたい」「支配したい」という意識
    • 仕事や家庭環境による慢性的なストレス
    • 体調不良や睡眠不足など、心身の余裕のなさ
    • 配偶者に対する不満をうまく言葉で伝えられない未成熟さ
    • 家族への過剰な信頼や甘えに基づく精神的依存


    特に、家庭という閉鎖的な空間では、外で抑えている感情を配偶者に向けやすくなり、結果として不機嫌ハラスメントが習慣化してしまうこともあります。

    ただし、これらの事情がある場合でも、不機嫌な態度によって相手を委縮させる行為が正当化されるわけではありません。

  2. (2)不機嫌ハラスメントを受ける側に生じる5つの影響

    妻や夫から不機嫌ハラスメントを受け続けることで、精神面・生活面の双方にわたってさまざまな影響が生じるおそれがあります。

    ① 相手の機嫌を常に気にすることで強いストレスを抱える

    家庭内で不機嫌ハラスメントが行われている場合、フキハラを受ける側は「相手の機嫌を損ねないようにしなければならない」という意識が常態化しやすくなります。
    その結果、常に緊張した状態が続き、「今日は大丈夫だろうか」「どの言動が不機嫌の引き金になってしまうだろうか」と考え続けてしまい、心が休まる時間がなくなってしまいます。

    ② 自己肯定感の低下や心身の不調が生じる

    長期間にわたって強いストレスにさらされることで、精神的な負担が心や体の不調として表れるケースも少なくありません。たとえば、自己肯定感の低下や抑うつ状態化、食欲不振、不眠、体調不良などが挙げられます。

    ③ 自分の意見や希望を諦めるようになる

    「不機嫌になられたら困る」「これ以上空気を悪くしたくない」という思いから、自分の意見や希望を口にすることを諦めてしまう方もゼロではありません。
    その結果、本来自分で選択できるはずの行動や人生の選択肢が狭まり、家庭内での立場が固定化されてしまうおそれがあります。

    ④ 本来の自分を喪失する

    「もっとうまく立ち回れば、妻(夫)は不機嫌にならないはずだ」と、相手の機嫌を損ねないように自分の言葉を頭の中で何度も検閲するようになり、本来の自分(=自然な感情)が分からなくなることがあります。

    ⑤ 子どもの情緒や対人関係に影響が及ぶおそれがある

    子どもがいる家庭では、親の不機嫌な態度に日常的にさらされることで、子どもが過度に空気を読むようになったり、不安を抱えやすくなったりすることがあります。
    このような環境が続くと、子どもの情緒面や対人関係の形成に影響が及ぶ可能性も否定できません。
    弁護士コメント
    遠藤 知穂
    ベリーベスト法律事務所 弁護士 遠藤 知穂
    不機嫌ハラスメントを受ける側は心身に悪影響が生じることもあります。「一緒に生きていけない」と離婚を考えるきっかけになる方も一定数います。「我慢は美徳」ではありません。まずは、ご自身や子どもの心身を守ることを最優先に考えてください。

3、家庭内で行われる不機嫌ハラスメントに対処法はある?

不機嫌ハラスメントに直面したとき、「どう対応すればよいのか分からない」「我慢するしかないのではないか」と悩む方は少なくありません。
3章では、フキハラへの対処法と記録を残す重要性を解説します。

  1. (1)フキハラの改善が期待できるケース・難しいケース

    不機嫌ハラスメントには、対応次第で改善が期待できるケースと改善が難しいケースがあります。

    改善が期待できるのは、相手が自分の不機嫌な態度を自覚し、その影響について理解しようとする姿勢を持っている場合です。話し合いに応じる意思があり、関係を見直そうとする姿勢が見られるのであれば、状況が変わる可能性もあります。

    一方で、不機嫌な態度を正当化し、「これは自分の性格だ」「お前が悪い」と責任を転嫁する場合や改善の意思が見られない場合には、状況が好転することは容易ではありません。
    このようなケースでは、無理に関係修復を目指すことで、受ける側の精神的負担がさらに大きくなるおそれがあります。

  2. (2)「我慢」は解決にはならない! フキハラの主な対処法

    不機嫌ハラスメントに対して我慢を続けても、根本的な解決にはつながりません。不機嫌ハラスメントに対する主な対処法は、下記のとおりです。

    不機嫌になる理由を確認し、話し合いを行う

    話し合いを行えるようであれば、不機嫌になる理由や背景について、冷静に確認してみましょう。その際には、相手を一方的に責めるのではなく、「不機嫌な態度によって自分がどのように感じているか」「生活にどのような影響が出ているか」を伝えることが重要です。

    合意のもとで距離を置く・別居を検討する

    話し合いが難しい場合や精神的な負担が大きい場合には、合意のもとで一時的に距離を置く、別居を検討するといった方法もあります。同じ空間にいるだけで気疲れする場合は、別の部屋に移動したり、外出の用事を作ったりするなどして物理的な接触時間を減らしましょう。

    第三者・専門家を活用する

    当事者同士での解決が困難な場合には、夫婦カウンセラーなど第三者・専門家の力を借りることも有効です。第三者が介入することで、感情的な対立を避けつつ、問題点や今後の対応について整理することができます。

    「課題の分離」を徹底する

    不機嫌ハラスメントは「フキハラを行う本人の課題」であり、その家族が解決すべき問題ではないと割り切ることも重要です。たとえば、相手が不機嫌を示し始めても、自分は好きなものを食べ、好きな動画を見るなど、自分の機嫌を自分で取ることに集中し、過度な自責をしないようにしましょう。
  3. (3)フキハラの記録を残す重要性

    不機嫌ハラスメントが続いている場合には、日々の出来事を記録に残しておくことが重要です。

    その記録は、自分自身の状況を客観的に把握する助けになるだけでなく、将来的に第三者へ相談する際や離婚などの法的手続きを検討する場面で「証拠」として参考資料になることがあります。

    記録を残す際には、問題に思う態度や行動があった日時、具体的な言動、その結果として生じた精神的・生活上の影響などを簡潔にまとめておくとよいでしょう。手書きのメモや日記、スマートフォンのメモ機能など、継続しやすい方法で残すことをおすすめします。

4、不機嫌ハラスメントをする夫・妻と離婚したいときはどうすべき?

家庭内で不機嫌ハラスメントが続き、心身への負担が大きい場合には、離婚を検討する方も少なくありません。もっとも、感情的に離婚を切り出してしまうと、条件面や手続き面で不利になるおそれがあります。
4章では、フキハラをする配偶者との離婚を考える際に押さえておくべき、基本的な進め方を解説します。

  1. (1)フキハラをする配偶者と離婚する方法|協議離婚・離婚調停・離婚裁判

    離婚の方法には、大きく分けて「協議離婚」「離婚調停」「離婚裁判」の3つがあります。

    協議離婚は、夫婦間の話し合いによって離婚および離婚条件を決める方法です。当事者同士で合意ができたら役所に離婚届を提出し、離婚が成立となります。比較的、短期間で手続きを進めることが可能です。

    夫婦間で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での離婚調停を検討することになります。調停は、調停委員を介して話し合いを行い、合意を目指す手続きです。

    調停不成立となった場合には、最終的に離婚裁判へと進む可能性があります。裁判では、不機嫌ハラスメントがあったと認められるかどうか、あったと認められるとして民法が定める法定離婚事由に該当するかどうかが争点になり、裁判所が離婚成立・不成立の判断を行います。

    詳しくは、以下のページをご参考にしてください。

  2. (2)離婚を切り出す前に進めておくべき準備

    不機嫌ハラスメントを理由に離婚を考える場合には、事前準備が非常に重要です。具体的には、以下のような点について整理しておくことが望ましいといえます。

    • 財産分与や慰謝料、養育費などの条件面
    • 別居後や離婚後の住まいの確保
    • 仕事や収入の見通し
    • 子どもがいる場合の生活環境や今後の方針


    財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を分けるもので、その割合は原則2分の1です。慰謝料は、不貞行為やDVなど、当事者の一方に婚姻関係が破綻した原因がある場合に請求できる可能性があります。

    これらを事前に検討せずに離婚を切り出してしまうと、話し合いが難航したり、生活面で不安定になったりするおそれがあります。離婚の話を切り出す前に準備はしっかりと行うようにしましょう。

    「まずは別居から考えたい」という場合は、以下の記事が参考になりますので、あわせてご一読ください。

  3. (3)離婚について弁護士ができる主なサポート

    不機嫌ハラスメントが関係する離婚では、感情的な対立が激しくなりやすく、当事者だけで話し合いを進めることが難しいケースもあります。
    そのような場合には、弁護士に相談することで、以下のようなサポートを受けることが可能です。

    • 離婚手続きの進め方についての助言
    • 不機嫌ハラスメントの状況整理や記録の活用方法の確認
    • 相手方との交渉や調停・裁判への対応
    • 財産分与や養育費など条件面の整理


    早い段階で専門家に相談することで、精神的な負担を軽減しつつ、より適切な選択肢を検討しやすくなります。

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5、弁護士からのメッセージ

不機嫌ハラスメントは、家庭内で起こる問題であるがゆえに周囲に理解されにくく、「自分が我慢すればよい」と問題を抱え続ける人も少なくありません。しかし、不機嫌な態度によって精神的な圧力を受け続けることは、心身に大きな影響を及ぼす深刻な問題といえます。

まずは話し合いをしたり距離を置いたり、状況に応じた対処法を試みつつ、日々行われるフキハラの言動や影響を記録に残しておくことが重要です。また、当事者だけで抱え込まず、第三者や専門家の力を借りることも有効な選択肢となります。

なお、不機嫌で家庭を壊していく相手との離婚を検討する場合には、今後の見通しや取るべき対応を整理するために、早めに弁護士に相談することがおすすめです。

不機嫌ハラスメントで離婚を考えるときは、まずは離婚専門チームを編成するベリーベスト法律事務所までご相談ください。後悔のない離婚が実現できるように、スタッフと弁護士が一丸となってサポートいたします。


弁護士相談の準備や流れもこれで大丈夫!離婚を初めて弁護士に相談する方へ
本コラムの監修者
離婚や遺産相続を中心に、家族関係の問題に注力する弁護士。
離婚等の夫婦関係に関連する事件について、親権や監護権に関する紛争、不貞慰謝料請求、婚姻費用紛争など多数の経験・実績を有する。CanCamでの不倫にまつわる法律相談をはじめとしたメディア監修も行う。
子どもがいる母親としての経験も生かしながら、地に足の着いた具体的な主張を行い、「自分らしく生きるお手伝いをしたい」という想いで気持ちに寄り添ったサポートをしている。

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