離婚後の生活費はどうなる? 離婚前後に請求できるお金と注意点
離婚を考えてはいるものの、「離婚後の生活費はどうなるのだろう」と不安に感じて踏み切れないままでいる方もいらっしゃることと思います。
離婚後は、原則として元配偶者に生活費を請求することはできません。しかし、離婚前には婚姻費用(=別居時の生活費)を請求でき、離婚時には財産分与慰謝料などを受け取れる可能性があります。また、子どもがいる場合には、離婚時や離婚後も養育費を請求でき、状況によっては、ひとり親世帯向けの公的支援制度を利用することが可能です。
本コラムでは、離婚後にかかる生活費の目安や内訳、離婚前後に請求・受給できるお金、生活費を安定させるためのポイントを、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。
目次を
1、離婚後にかかる生活費の目安と内訳
離婚後の生活を考えるうえで、まず把握しておきたいのが生活費の目安です。まずは、必要となる費用の内訳や地域差、子どもの年齢による違いを確認していきましょう。
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(1)項目別に見る、離婚後に必要となる主な生活費
離婚後に必要となる主な生活費は、以下のとおりです。
- 住居費(家賃・住宅ローン・管理費等)
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費(携帯・インターネットの費用)
- 日用品費
- 教育費
- 医療費
- 保険料
- 交通費
- 被服費
特に負担が大きいのは、「住居費」「食費」「教育費」です。離婚により世帯収入が減る一方で、住居費の負担は大幅には減らない場合が多いため、家計への影響が大きくなります。
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(2)首都圏と全国の生活費目安
東京都が公表する「都民のくらしむき 東京都生計分析調査報告(令和7年)」の統計資料 を参考に、東京都と全国で見る勤労者世帯の生活費目安を示すと、以下のようになります。
費目 東京都(月額目安) 全国平均(月額目安) 消費支出合計 38万3186円 34万6297円 食料 10万9041円 9万3789円 住居 2万9916円 2万169円 光熱・水道 2万787円 2万4182円 家具・家事用品 1万4685円 1万3850円 被服および履物 1万5163円 1万1965円 保険医療 1万7084円 1万4574円 交通・通信 4万8919円 5万6917円 教育 2万4513円 1万8601円 教養娯楽 4万7434円 3万4058円 その他消費支出 5万5646円 5万8192円 ※東京都の勤務者世帯……平均世帯人員3.17人、世帯主平均年齢51.1歳
※全国の勤務者世帯……平均世帯人員3.20人、世帯主平均年齢51.0歳
この統計は離婚後の母子世帯を対象にしたものではありませんので、母子世帯の生活費だと、上記統計よりも低い金額になるものと考えられます。しかし、生活費全体に占める各費目の割合はおおまかにイメージできるでしょう。
なお、首都圏では住居費や食費が高いため、全国平均よりも生活費が上がる傾向です。 -
(3)子どもの年齢や人数によって生活費は変動する
離婚後の生活費は、子どもの年齢や人数によって大きく変わるものです。
子どもは、成長するほどに教育費が増え、特に中学生以降は塾や学費などの負担が大きくなります。また、子どもが2人以上いる場合は、食費・教育費・医療費・被服費などが増え、生活費は1.5〜2倍程度になることもあります。
そのため、離婚後の生活設計では、将来の教育費の増加も見込んでおくことが重要です。
お悩みの方はご相談ください
2、離婚前後に請求・受給できるお金
離婚後の生活費を安定させるには、離婚前後に受け取れるお金を把握することが重要です。以下では、離婚前後に請求・受給できるお金をまとめました。
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(1)離婚前に請求できるお金|婚姻費用
別居中でまだ離婚していない場合、夫婦には互いに扶養義務があるため、収入の少ない配偶者は、相手に対して婚姻費用を請求することが可能です。
婚姻費用とは、夫婦および未成熟子が生活するための費用であり、住居費や教育費、医療費などが含まれます。
婚姻費用として受け取れる金額は、原則として、双方の収入と子どもの人数・年齢に応じて算定表で決まります。ベリーベスト法律事務所では、算定表にもとづく婚姻費用請求ツールを公開しておりますので、無料で金額の目安をシミュレーションしていただくことが可能です。
ただし、算定表はあくまで標準的な目安であり、個別事情によって調整されることがあります。各家庭の事情に応じて個別に判断されるため、具体的な金額は弁護士に相談することが望ましいと言えます。 -
(2)離婚時に請求できるお金|財産分与・養育費・慰謝料・年金分割
離婚時には、財産分与・養育費・慰謝料・年金分割などのお金を請求できる場合があります。
財産分与
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に形成した共有財産を離婚時に清算する制度です。
預貯金、不動産、保険、退職金などが対象となり、原則として2分の1の割合で分けることになります。例外的に、寄与度や個別事情によって割合が修正されることもあります。
婚姻期間が長い夫婦ほど金額も大きくなりますので、適正な財産分与ができれば、離婚後の生活安定につながるでしょう。
なお、財産分与は離婚後に請求することも可能ですが、請求できる期間には制限があります。令和8年4月1日以降に離婚した場合は離婚後5年以内、それ以前に離婚した場合は離婚後2年以内とされているため、注意が必要です。あわせて読みたい
養育費
養育費とは、未成年の子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要となる衣食住の費用、教育費、医療費などの生活費です。離婚後、子どもと一緒に暮らすことになった親は、離れて暮らす親に対して養育費を請求することができます。
養育費は、婚姻費用と同様に双方の収入と子どもの人数・年齢に応じて算定表で決まります。ただし、算定表は標準的な金額の目安であり、子どもの教育費(学費や習い事の費用)が高い場合、子どもの人数が多い場合、高額所得者の場合などには個別の算定が必要となることがあります。
ベリーベスト法律事務所では、養育費の目安となる月額費用を算出できる無料ツールを公開しています。以下より、ぜひご活用ください。
慰謝料
不貞行為(不倫・浮気)やDV、モラハラなどの離婚原因が相手にある場合、慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、訴訟になった場合には、慰謝料を請求するには、上記のような離婚原因があることを証拠によって立証しなければなりませんので、事前の証拠収集が重要です。あわせて読みたい
年金分割
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。
離婚後の生活費に直ちに影響する制度ではありませんが、老後の生活保障に関わる重要な制度になりますので、忘れずに請求するようにしてください。あわせて読みたい
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(3)離婚後に利用できる公的支援制度
離婚後は、以下のようなひとり親家庭向けの公的支援制度も利用できます。どのような制度を利用できるかは、お住まいの自治体によって異なりますので、事前に自治体の窓口で確認してみるとよいでしょう。
児童育成手当
児童育成手当は、主に東京都内の市区町村が独自に実施している、ひとり親家庭や心身障害児を養育する家庭の生活安定を目的とした手当制度です。18歳(障害児は20歳)未満の児童を養育する所得制限内の家庭へ月額手当が支給されます。
これは、国が実施する「児童扶養手当」とは別の制度である点にご留意ください。児童扶養手当
児童扶養手当は、離婚や死別などで父・母と生計を同じくしていない、18歳に達した日の属する年度の終了まで(3月31日まで)の児童(障害がある場合は20歳未満)を育てるひとり親家庭等に支給される手当です。ひとり親世帯家賃助成制度
ひとり親世帯家賃助成制度は、母子・父子家庭やそれに準ずる家庭に対し、自治体が民間賃貸住宅の家賃の一部を補助する制度です。主に児童扶養手当受給者などが対象で、支給額は月1万円程度が相場ですが、自治体により異なります。あわせて読みたい
3、離婚後、例外的に元配偶者に請求できる金銭
離婚前であれば「婚姻費用」という形で生活費を請求できますが、離婚後は原則として、婚姻費用を請求できなくなります。
婚姻中は、夫婦は互いに生活を支え合う義務(生活保持義務)を負っていますが、離婚によりこの義務はなくなるからです。そのため、離婚後に元配偶者に対して、引っ越し代や生活費などを請求することは原則としてできません。
しかし、離婚後であっても例外的に元配偶者から金銭を受け取れる場合があります。代表的なものが養育費と扶養的財産分与です。
子どもの生活費としての養育費
養育費は子どもが成人または自立するまで支払い義務のあるものです。離婚後の家計を支える重要な収入源となるでしょう。
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離婚後の生活に困窮してしまうときは扶養的財産分与
通常の財産分与は夫婦共有財産の清算が目的ですが、扶養的財産分与は離婚後の生活保障を目的とする点が特徴です。
具体的には、以下のような事情がある場合に扶養的財産分与が検討されます。
- 長期間の専業主婦(主夫)で収入基盤がない
- 高齢や病気・障害により就労が困難
- 離婚により生活水準が著しく低下する
- 自立まで一定期間の支援が必要
このような場合、離婚後の生活を一定期間支える目的で、通常の財産分与に加えて金銭の支払いが認められる可能性があります。
ただし、扶養的財産分与は、清算的財産分与などを受けてもなお、生活が困難な場合に限り補充的に認められるものであり、実務上は例外的な取り扱いです。
4、離婚後の生活費を安定させるために|考えるべき・知っておくべきこと
離婚後の生活を安定させるには、収入や住居、離婚時の取り決めなどを事前に整えておくことが重要です。以下では、離婚後の生活費を確保するために知っておきたいポイントを説明します。
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(1)収入の確保
離婚後は、原則として単独で生活を維持していく必要があるため、安定した収入の確保がもっとも重要な課題です。
そのためにできることとしては、以下のような方法が考えられます。- 就労開始、再就職
- 正社員への転換
- 転職による収入増加
- 資格取得
- 在宅勤務や柔軟な働き方
特にひとり親世帯では、子育てと仕事を両立できる働き方を選ぶことが生活安定につながります。離婚後の収入見込みは、生活設計の前提となる重要な要素です。
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(2)住居の選択
住居費は、生活費の中でもっとも大きな割合を占める固定費です。そのため、離婚後の住まいの選択は生活の安定に直結します。
離婚後に住んでいた家を出ていく場合の選択肢としては、以下のようなものがあります。- 実家に戻る
- 賃貸住宅に住む
- 公営住宅に申し込む
- 母子生活支援施設を利用する
公営住宅や自治体の住宅支援制度は家賃が低く抑えられるため、離婚後の生活基盤を整えるうえで有効です。家賃負担が収入に対して過大にならないよう注意するようにしてください。
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(3)離婚後の収支シミュレーション
離婚後の生活費を現実的に把握するためには、事前に収入と支出を試算しておくことが重要です。具体的には以下のような項目を整理します。
- 離婚後の収入(給与・手当・養育費)
- 生活費(家賃・食費・光熱費など)
- 教育費
- 公的給付
収支バランスを確認することによって、離婚に向けて生活水準の見直しや住居選択、就労計画などを具体的に検討することが可能です。
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(4)離婚後の取り決めは公正証書にまとめる
養育費や財産分与などの金銭に関する取り決めは、公正証書にしておくことをおすすめします。公正証書にしておくことには、以下のメリットがあります。
- 養育費不払い時に強制執行が可能
- 支払い義務の明確化
- 将来の紛争予防
離婚後は相手との関係が希薄になることも多く、口約束では履行されないリスクがあります。そのため、離婚時点から、不払いのリスクに備えておくと安心です。
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(5)【令和8年4月1日施行】養育費や財産分与に関する法改正のポイント
令和8年4月1日施行の民法改正により、養育費や財産分与に関する制度が強化されました。主なポイントは、以下のとおりです。
- 父母間で養育費の取り決めがなくても請求できる「法定養育費制度」の新設
- 養育費債権に「先取特権」が付与され、一定範囲で強制執行が可能となる仕組みの導入
- 財産分与の請求期間の延長(離婚後2年以内から5年以内へ)
- 夫婦の寄与の程度に大きな差がない限り、財産分与を2分の1ずつとするルールの明文化
これによって、養育費の不払いへの対応が容易になり、適正な財産分与の実現がしやすくなるなど、離婚後の生活保障が強化されています。
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(6)離婚後の生活費に不安があるときは弁護士への相談がおすすめ
離婚時の財産分与や養育費、慰謝料などの金銭問題は、法的な判断や相手との交渉が必要となる場面が多くあります。
弁護士に相談すれば、適正な金額の見通しを示してもらえるだけでなく、交渉や公正証書作成のサポートも受けることが可能です。離婚後の生活費は、将来の生活基盤に関わる重要な問題であるため、不安がある場合は早めに弁護士へ相談することが望ましいでしょう。
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5、まとめ
離婚に際して生活費に不安を覚える方は多くいらっしゃいます。離婚時に財産分与・慰謝料を得るお金を受け取れる可能性があります。また、公的支援制度の利用も可能です。
いま抱えている不安を軽くしたり、離婚後の生活を安定させたりするためには、生活費の目安や請求できるお金、利用できる制度を理解し、収支の見通しを立てることが重要です。
離婚に伴う経済問題は複雑であり、取り決めを誤ると将来の生活に大きな影響が生じかねません。離婚後の生活設計を整えるためにも、おひとりで問題を抱え込まず、弁護士にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は全国に拠点をかまえる大規模法律事務所で、離婚専門チームを編成しています。これまでにご依頼くださったお客さまからは、以下のようなお声をお寄せいただきました。
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