ベリーベスト法律事務所 弁護士による離婚・男女問題相談

障害年金の財産分与について

離婚給付において障害年金が問題となる場合

障害年金は、財産分与の対象か?年金分割が可能か?

離婚に際して、配偶者の一方が障害年金を受給している場合、離婚給付との関係で問題が生じることがあり得ます。一つは、財産分与の金額を算定するにあたり、障害年金が共有財産として財産分与の対象となるのかどうか。もう一つは、離婚に当たって年金分割の制度がありますが、障害年金を受給している場合にも年金分割が可能かどうかです。

配偶者が障害年金を受給している場合の財産分与

障害年金は、財産分与の対象とはなりません

そもそも、財産分与は婚姻生活中に夫婦それぞれの協力や貢献によって得られた財産を、それぞれの寄与分を考慮して清算するものです。そのため、基本的には財産を形成する過程で両配偶者が貢献している財産のみが、財産分与の対象となります。これに対して障害年金は、病気やけがが原因で、法令により定められた障害等等級表による障害の状態にある場合、その期間年金が支給されるものです。つまり、障害年金は夫婦間の協力関係とは無関係に、病気やけがにあるということから支給されるものであって、財産分与になじみません。実際に、障害年金はその障害の状態の程度に応じて支給されるものであり、一方配偶者が年金を受給するについて、他方配偶者の寄与があるということはできないため、障害年金は財産分与の対象とはならないと判断した裁判例もあります(東京高裁平成12年3月9日判決)。この障害年金の性質は、障害基礎年金・障害厚生年金問わず同様ですから、いずれの障害年金も財産分与の対象とはなりません。もっとも、既に受給した障害年金が給与等と区別されて保管されていれば判別可能ですが、民法上、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、共有財産(財産分与の対象)と推定する規定もあるので注意が必要です。

障害年金と年金分割

障害年金自体を年金分割の対象とすることはできません

年金分割については、離婚時の年金分割についてのページで解説した通りです。
障害年金も、年金の一種ではありますが、年金分割の対象はいわゆる老齢厚生年金ですから、障害年金自体を年金分割の対象とすることはできません。さらに、年金分割を検討するときに、障害年金との関係で注意が必要な点があります。上のページでも述べたとおり、年金分割には合意分割と3号分割の二種類がありますが、年金分割を請求される配偶者が障害年金を受給していると、3号分割ができないことがあるのです。それは、平成20年4月1日以降に、障害年金支給のための障害認定日がある場合です。この場合、年金分割がされてしまうと、障害年金額の基礎となる報酬総額を分割(減額)することになるため、障害厚生年金の受給額が減ることになります。3号分割は、一方当事者の意思で強制的に年金分割をする制度ですから、結局、強制的に障害厚生年金の受給額が下がることとなってしまうのです。
病気やけがによる年金である障害年金の制度趣旨からすれば、強制的に受給額が下がるのは望ましくないため、この場合の3号分割はできないのです。
もっとも、障害年金の受給額が下がる当事者の合意があるのであれば、受給額を低下させないことにこだわる必要はありませんから、この場合でも合意分割は可能です。

その他の障害年金に関する注意事項

離婚により「配偶者加給年金」の受給金額が変わる場合があります

財産分与や、年金分割とは直接的に関係しないことですが、離婚により障害年金の受給金額が変わる場合があります。それは、障害年金受給者が、配偶者がいるとことによる「配偶者加給年金」を受給していた場合です。これは、障害年金受給者が配偶者の生計を維持していることから認められることから年金額が加算されるものです。したがって、離婚することで生計を維持すべき配偶者が存在しなくなる以上、加算はされなくなります。


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